アメリカナショナリズム系の映画

「アルゴ」。これは、1979年に起きたイランでのアメリカ大使館占拠事件を基にしています。またもや実話系。アメリカ・ハリウッドと米国CIAのちょっといい話?です。

アルゴ

予告編が喜劇タッチなのは、集客を狙ってのことでしょう。

実際は、そんなに笑えません。むしろ、イスラムのデモ集団の過激さが、最近の抗日デモを想起させ、震撼させる。死者は出なかった中国とは違い、イランのデモは違う(そこがアジア圏と一神教イスラム圏との違いかもしれません)。米国人やホメイニ師に反対する者とわかると、残酷な公開処刑が待っている。もとはといえば、石油の利権をめぐっての米英の暗躍が原因なのです。しかし、イラン在住の一般アメリカ人には政治的責任はない。

アルゴのストーリー

占拠された大使館から職員6人が逃げ出す。彼らはカナダ大使館に潜伏します。しかし顔が知られるのも時間の問題。顔写真がシュレッダーにかけられていても、イランの人海戦術により、繋ぎ合わされバレてしまうのです。顔が公開されたら捉えられ、殺されます。頭に血がのぼった群集は、理屈や話し合いは一切通用しない。空港には沢山の兵士もいます。米国の手先とされる人々が毎日捕まっています。どうしよう!?どうしよう!?

そこへ、アメリカCIAの脱出・救出プロフェッショナルの主人公トニー・メンデスが登場。

映画「アルゴ」

伊藤英明似のトニー。なかなかの男前。髭が濃い。

日本男子もヒゲオシャレがはやっていますが、中東人・欧米人の濃さにはかなうまい。(鹿児島なら髭美男子がいるかもしれませんが?)

とんでも企画で大脱出

彼のたてた作戦はこうです。ウソの映画を企画し、大使館職員6人を撮影スタッフに仕立て上げ、空港を突破させ、脱出させようというもの。

最初は、自転車で国境を越えさせるとか、外国語教師に見立てるとか、案が出たものの、どれも現実的でない。ならば、映画にかこつけて、脱出が現実的なのか?!潜伏中の大使館職員6名、当事者達はびっくりします。いわば、熊におそわれかけたら、阿波踊りを踊ったらいいでしょ♪とかいうもんです。

映画「アルゴ」登場人物
アルゴの登場人物がそれぞれパニックになるさま

しかし、一見荒唐無稽なアイデアこそ、成功の秘訣が隠れているものです。

嘘の脚本、嘘の役者、嘘の宣伝。アメリカ政府やカーター大統領、CIA、カナダ大使館を巻き込み、世紀の大博打がはじまります。

ノンフィクション(実話)である

これが事実だというのだから、もうびっくりです。大胆不敵すぎ!18年もこの事実をアメリカは隠蔽していた。ハリウッドらしい正義感と、とってつけたようなタイムリミットはらはら感は演出でしょうね。

この映画の最大の魅力は、臨場感、でしょう。当時のイラン・イスラム情勢の空気感がいかなるものであったか。イスラムと欧米圏との対立構造や9.11、今日までのイスラムに対する、神経質なアメリカの感覚がなんとなく分かるような気がします。

アルゴ

イラン革命

イラン革命を起こしたアメリカ