肖像権に悩む

合間の楽しみに書いている偉人やら昔の政治家やらのフリーイラストサイト

これ肖像権的にはどうなの?

と心配になりました。

著作権でいえば、OKです。著作権は絵を描いた人のものです。当の描いた私がご自由にどうぞ!と言っているのでclearです。しかし、肖像権に関しては明確に違います。顔の権利はその人のものだからです。誰が絵に描こうがどんなに上手く写真に撮ろうが顔の持ち主のもの。その権利は侵されてはならないのです。

というのは先月まで麻生さんやら菅官房長官とか載せてた(もう外してます)誹謗中傷やら二次販売やらしないでね、とお願いしてますが、使い途としてはブログの記事の挿絵だよね。ならば、あるていどは批判的な記事への使用も許容することになるよなあ、と。記事内容は思想の自由だし私の関知することではないけど、肖像権としてはどうなのか。

で、考えてFREE!顔と似顔絵イラストでは亡くなられた方の顔だけを扱うことに決めました。

現時点の政治家などを期待されている方も沢山おられメールでリクエストまで頂戴しましたが、すいません。やはり、ご存命でご本人やご家族がおありな方は、いくら政治家で物議をかもしたり失言の多い方でも(?)その顔の絵はばらまいたらイカンですよね。Freeでも。

ネットやテレビには芸能人の写真を載せるかわりに似顔絵イラストでってパターン(ジャニーズのエピソードをイラスト漫画にして紹介など)無数に散見するので、いいかもしれないとも思いますが。あくまで本人たちがそれなら黙認しよういちちち訴えない、暗黙の了解なだけです。慣例的にまかり通っているだけで。実際は肖像権の侵害に引っかかってますよね。

▼森さんはご存命

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失言が多く諷刺しやすい元総理。でもラグビー大会やオリンピック誘致で活躍する森さん

無料なら顔の絵をバラまいていいかっていうと違いますよね。そこが肖像権です。

生きている有名人の顔はフリー対象にはしません。こうして練習がてらに描いてブログに載せるだけにします。

なら新聞の政治風刺似顔絵ってのはどうなんだ、イラストでけなしまくっとるがや、と考えますが…。諷刺表現の自由と顔イラストの乱発はまた違うような気がします。ほんと、曖昧な権利です。肖像権は。

今後、様子を見ながら随時変えていきます。

▼この人もある意味お騒がせ

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突然原発がどうのといってみたりする、掻き回し屋の壊し屋。ワンイシューの選挙で大衆の絶大な支持を得るが、ヤツの政策のせいで、今や若者の非正規雇用があふれんばかり。

今生きてる政治家はフリーにはしません。小泉さんもすぐ諷刺批判記事の対象になっちゃうもんね。

肖像権とは著作権とは違う

肖像権と著作権は混同され、TwitterやSNSで論争がたびたび起ります。私の絵をトレースされた!あのジャニーズの顔をグッズにして売っている!エルサのキャラで大儲け!アニメキャラを描きこむ似顔絵ショップがある!許せん!など。

しかしその内容を見るに、厳密な肖像権と著作権の違いやラインを明確に知っている人は意外に少ない。たいがい混同してごっちゃになってます。

私も気を付けていかないと対岸の火事では済まされません。自分はやってない!と断言していても、じゃあ、そのラインは厳密はどこ?と問われて答えられるでしょうか?悪意がなくて、知らずに侵害することもあるのです。大きなグレーゾーンがあり、お客様はもちろん、絵を描く私にもよく分かっていないのが現状です。法的な数値化された線引きを提示することはできません。まだ未整備だからです。

決まっているのは、せいぜい著作権が「死後70年」であることくらいです。(2018年より50年から70年に変更になった)

著作権の保護期間

肖像権にいたっては各国の見解はあいまいで、日本の場合は亡くなったら終わり、程度の感じだったか。未だぜんぜん設定されてないんです。

写真の撮影者の死後70年経っていれば、写真作品の著作権は切れます。 しかし、人物写真の場合は被写体となった人に肖像権があります。 著作権が切れていても肖像権が生きている場合がありますし、肖像権が切れていても著作権が切れていない場合があるのです。つまり、著作権と肖像権は分けて考える必要があり、本来は両方を確認しなければならないので、有名人の写真を使う時には細心の注意が必要なのです。死後50年以上の有名人の写真は勝手に使えるの?より

ジョンレノンさんの顔の権利侵害事件

肖像権はいまだ曖昧であり、各国やアメリカの州で見解が違います。日本では著作権については知られているものの、肖像権については法定化されていません。

とりあえず私のフリーサイトでは亡くなった人、というラインを引くことにしましたが…。その内決まるかもしれませんね。

かつてアンディウォーホルの描いたジョンレノンの顔を東京メトロがプリペイドカードにして配ったという事件があります。(wややこしい一文ですね)

ジョン・レノン事件 – 営団地下鉄(現:東京メトロ) が遺族のオノ・ヨーコらに無断で、アンディ・ウォーホル作のジョン・レノンをコラージュした肖像画のプリペイドカードを発売した問題。営団地下鉄は、販売を自粛した。

肖像権(ウィキペディア)パブリシティ権についての項

東京メトロが勝手にウォーホルの絵をノベルティにして配っちゃったと。

この事件は肖像権と著作権、両方の侵害が考えられます。ウォーホルの絵に許可を取っていたのか(著作権)何よりも問題にされたのが、ジョンの顔(肖像権)です。遺族であるオノヨーコさんにとってジョンの肖像権の侵害にあたります。

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ジョンレノンさんの似顔絵イラスト

 

亡くなられていても肖像権が生きる場合があります。

国によっては死後すぐ消滅するケースがあるけど、何十年たっても権利が存続するという見解があります。もちろん遺族が難を示すなら侵害にあたるわけです。

著作権と肖像権の権利のあいまいさ

著作権と肖像権についてはそれぞれの境界が曖昧で迷いますが

▼このアマナイメージの

写真の権利について

が分かりやすい。

ユニバーサルなストックフォトの見解なので、これを採択していれば間違いないでしょう。写真とありますが、イラストレーションも同様です。著作権と肖像権についても述べられてます。

似顔絵師はサンプルに芸能人有名人を書きブログに載せたり席描きのディスプレイに使います。描いてない人を探す方が難しいくらい皆描きます。

でもこの行為もグレーゾーンです。(だって結局、販促のため。アクセス集客や注目をあびるために芸能人や有名人の顔を使っているんだから)でも、それは業界や市場の暗黙の了解でお互い許しているのが現状です。(厳密なショップは芸能人のサンプリングは載せていない)描いて見せる展示するのはいい。でもその芸能人の顔を「売る」のは絶対だめ!という掟があるわけです。

ワンピース風の漫画家の画風で絵を描く人も沢山います。それをTwitterで発表するくらいなら許されますが売るとものすごく批判されます。なので、法律で明確にラインが定められているわけではない。が、現在はそのようなルールが定着しつつある。描いて発表するのはOKで、売るのはNGなのです。

しかし、それが本来曖昧な決まり(法律で定めてない)とは知られてません。SNS上で大上段で他者を批判している人自身も良くわかってないのです。いつか厳密化されが私やあなたが意気揚々と発表している芸能人の絵もいつか批判の対象になるかもしれませんよ…。

私の方針

私も一般的な慣例上の見解に準じてます。

ブログには芸能人のサンプリングは載せるものの、販売サイトそのものですのサンプリングには芸能人を使用しない方針です。

▼とか言いつつこれは誰だ?

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A4サイズ/花いっぱいのピンクの似顔絵イラストブライダル
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A4サイズ/日本風の紋付袴と打掛のブライダル似顔絵イラスト

いちおう、似た誰か…あの人らとは別、顔や髪形を変えてわざと違うようにして描いてます。ギリギリすぎですね…汗 ご本人たちがご立腹されたら消去以外にありません。上手く描けたので、ウェディングサンプルとして載せてます。

受注ページについては著作権肖像権についてはかなり厳しい方で、アニメキャラ、アイドルなどの著名人を描いて売るのは断るのはもちろん、サンプル載せるのもしません。企業ロゴマークを描くこともお断りしてます。他作家さんの絵をダウンロードして構図を参考にして、というのも私の定めたラインに牴触するのでアウトです。(もちろん人によって設定ラインは違います)

著作権肖像権侵害の申し出があった時点で注文そのものをお断りする方針です。

服装はまあOKかな。ワンピースの登場人物の恰好した似顔絵イラストくらいいいじゃないの、とは思います。これもグレーゾーンとは思いますが。これがアカンならコスプレーヤーも同人誌も一網打尽されます。

クレヨンしんちゃん風?な お子様似顔絵
アニメの「クレヨンしんちゃん」が大好きなお子様の夢をかなえました。

何年も前のサンプリングです。クレヨンしんちゃんの服装に著作権侵害だ~とか言ってたらキリないですからね。単に赤いトレーナーと黄色い服なだけ。犬はちょっとギリギリかな。オマケでお描きしたんですが、今なら犬キャラも描かないです。

著作権は私のもの肖像権はお客さんのもの

実は、似顔絵イラスト、皆様にお売りしたものでも著作権は私のものです。

なので、作成した絵を大量印刷して会社のパンフレットに使う、などは出来ないと思ってください。あまりそういう方はおられませんが…。

厳密には著作権としてよろしくないですが、ご家族の絵が多いので、コピーして各人で飾ったりハガキにしたりは当然いいです。でも、私自身が複製品を作るのは、やはり、そこは少し頂きますね、ということで、スキャンデータを有料で頂戴しているのです。(なので、これはスキャンの手間料ではなくて著作権料です)

で、肖像権にいたってはパブリック権というのがあるのは知られてますが(有名人の顔を使って利益を得ること)肖像権はどの人にも私にも皆さま1人1人にあるものです。上の著作権とは全く違う観点のものです。

なので、似顔絵イラストを注文していただく際に公開割引というのを設定してますが(絵のみ公開3%引き 元の顔もなら5%引き)これは私が皆さまの肖像権の使用(私のサイトでの紹介)にお金を払う、ということです。

※全部好きに使えるのではなくて、限定的な範囲での使用料です。もちろんこんな風に使ってほしくないというお申し出があればすぐ直します。肖像権は消滅しない、絶対的な権利だからです。

肖像権と著作権について述べましたが、最近、取り沙汰されているものに、人物だけでなく、建築物もそうです。

洋菓子店の外観がゲームに使われて、今問題になっていますが

「ゆずソフト」のアダルトゲームの舞台に、人気洋菓子店「パティシエ・エス・コヤマ」(三田市)の外観が無断で使われていることが分かった。店側はイメージが損なわれかねないとして発売後の抗議を検討

たとえば京都で仏閣や神社を記念撮影することはOKでも、建物の写真を売ることは本当はアウトなんですね。(めっちゃ売られてますが)だってその建築物の所有者がいるわけです。許可を本来取るべきですよね。しかし、全部が全部取り締まれるわけがないので、現状、建築物観光地も権利関係が曖昧なまま普通にまかり通っているのが現状です。

被写体の権利って建築物だけなの?

似顔絵イラストに限らず絵を描く人には必須の問題で、今後も気を使っていく必要があります。

似顔絵イラストを無断使用しないで!