個人で仕事をしてはや

個人事業主になって10年がたとうとしてます。フリーランスとか独立起業とかクリエイターだとかなんかカッコ良い名前をつける人もいますが

要するに、一人個人店主です。

シャッターが下りた商店街にポツリポツリと人気のない雑貨屋やタバコ屋があります。が、店舗があるだけスゴイ、天才かといつも思う。何よりも一見カッコ悪そうに見える不景気そうな街の個人店主の方々は、その店を何十年も潰していない、というだけですごい。影でものすごい努力をしている’(地縁にしろ人脈にしろ忖度にしろ資金にしろ)私よりも数千倍も人間の出来が違うのです。1人で仕事するようになって彼等を崇敬するようになりました。

スティーブジョブズに憧れる前に近所のタバコ屋のおっちゃんのスゴさに震撼せよ!

ちなみにタバコ屋は特別な販売資格がいります。

さて何の地縁も人脈もなくポツリと1人で似顔絵の仕事を突然はじめた私は2012年、乳がんの治療終了直後、震災の翌年からのスタートなので、もうじき10年です。

いつ終わってもおかしくない業態で毎月毎月毎年ひいひい言いながらやってます。もう今年こそ終わりかと怯えつつ、温かいお客様に恵まれて、不思議に続いている。(まさに「神様」としか言いようがない。昨今の「お客様は神様」ではない風潮がありますが、私には「お客様は神様」であると思わなくてはこの10年の説明がつきません。)お客様は神様で、神仏はいて、奇跡はあります。(スピ意味ちゃうで)

「似顔絵師になるには!?」とな?その2 ダメダメづくしの独立の話!

続きます。

時々長文を猛烈に書きたくなる日があって今日がそれに当たります。(元々記事が長いですが、異常に長い日があります)以下、お暇な人はどうぞ。

個人事業主は細かいややこしい雑務がほとんど

個人仕事は出会いと自由があるのが良い。

が、たった一人で何もかもしなくてはいかん。「好きなことでお金が儲かっていいわね」的なことを言われますが(羨ましがっている風ですが実はマウントではないか?)

やっている人は実感しているでしょうが、絵を描くという(好きなことであろう)業務は3割あればいいほうで、ほとんどが事務と運営と営業です。(それが嫌さにほとんどの人は会社員になるかどこかの暖簾の元に入るか友人同士で起業(←これは120%ジゴク)しようとします。何よりも不安定さは生活の困窮につながります。才能があっても事務作業でコケて不安定になる人も多い。)

この7割の業務のために四苦八苦して色々なビジネス書を読みました。簡単なものからメンドクさそうなものまで。あの「FREE」という分厚い本も縋るように読みましたね。

で、よくあるクリエイターのためのノウハウ本はあまり役にたたなかった。「ポートフォリオを作りましょう^^」「人脈を大事にしましょう^^」「出版社に持ち込みましょう^^」など。

だって似顔絵仕事はCtoCだから。(Consumer to Consumer 消費者 対 消費者の取引)そういうこと関係ないんです。目の前の人を喜ばせお金をもらい、次から次へとそうするシンプルな業務です。大道芸にも似てますが、違うのは現物を渡すことです。販売業なんですよ。

美大でひたすら「芸術」と追及するのとは全く違うよね。

タコヤキ屋と似顔絵の共通点

だんだん、この仕事はゲージツカというより飲食店に近いなあ、と確信するようになりました。

それもレストランやカフェじゃなく、タコヤキ屋なんじゃないかと

だって共通点がありすぎです。

●参入障壁が低すぎる(道でも売れる 学歴不要 国籍不問 年齢不問)
●安い 早い(席描きではたいてい1人10分で描く アートというにはあまりにも低い単価)
●庶民的(タコヤキを嫌いな人はいないでしょう)
●流行がある(スタンダードな基本があり出汁味やマヨ味など変化する)
●接客が大事(キャラや営業トークや礼儀、接客スキルがいる)
●固定費が低い(店はショボくてもいい。どっかの軒先でやれるフリマでもやれるネットで出来る)
●原価が低い(紙と鉛筆があればいい)

つまり、絵を描くという領域では底辺に近い(すいません)その分、大衆的でスターダムに乗り上げるチャンスが大きいというメリットがあるのです。

インターネットで誰もがCtoCに参入

特に近年はフリマアプリやSNSの発達でCtoCが盛り上がり、かつての常識が一切通用しません。(10年前はITの世界ではもう大昔です)いまや従来なら外へ出て働けなかった幼児を育てている主婦の方がSNSでアートやハンドメイドを売り、バズり、ブログを書いて本を出せるという時代になっています。

タコヤキ(すいません、何度も。たとえですからね。)をネットで誰もが、従来のハンデ(外で集団的に働きづらい主婦や障害のある人、高齢者も)を乗り越えバンバン売る時代になったのです。

ただ、そういう業界に向けたビジネス書はあまりありません。書店には従来の商慣習に従ったオジサマ向けの本がずらり。上司にどう気に入られて出世するかとか、部下をいかに使うかとか。

自然発生的に社会が猛烈なスピードでこうなってしまったんだから、ないのも当然。書籍よりも個人のビジネスブログの方がノウハウが開示されています。

この10年、それぞれの項目に合致している本をあさりました。たとえば接客については百貨店のカリスマ店員さんの書いたものが役にたった。

米国では個人事業主が当たりまえに

SNSやネットを使って独立=個人事業主になる人が増えてきました。これからどんどん増えてくることでしょう。アメリカではもう3割なんだとか。

それにつれビジネス書やWEB記事も変化してきました。

中には自己啓発カルトのようなものや、困窮者の弱みにつけこむ一獲千金もの、従来の働き方を捨てて「好き」なことだけするのが勝ち組!という過激のもあります。最近では学校に行かないでユーチューバ―になる子供も話題になりました。

新しい働き方を紹介する本や記事は大きな文字で読みやすく1時間もなく読み終えてしまうようなものが多く、それはそれで考え方のひとつですが

私にとっては何か違うような気がしました。

フリーランスってそんなにステキなこと?

いや「好き」を仕事にするのは構わないと思うんです。どっかのおじさんのように「好きなことで食ってくなんて甘いんだよ!」とまで言いたくない。(嫉妬そのものだから)「好き」=才能があるということだから。やってみたらええと。たいていの人は「好き」なことを探すのすら一苦労なんだから。

でも、その「好き」をマーケットの俎上に載せるには「好き」だけじゃダメだってこと。

イマドキの意識の高い人がバカにしている地道でマメな勤め人のやっている作業がムチャクチャ必要だってこと。むしろ勤め人ならメンドクサイことを誰かにやってもらえる分トクなわけです。10年くらい辛抱してたら商慣習だって教えてもらえて、失敗だってできるしね。失敗してもお金もらえるなんて勤め人だけです。(商慣習ならビジネス書で学べるから大丈夫!という人もいますが、そういう人かなりの確率で読まないし、実地で教えてもらうのとは実感が違うよ。さらに個人は1度の失敗が不信用を招き潰れるリスクが高い)

1人でするなら「好き」なことを商売にすると同時に「好き」じゃない業務が実は大量にあって、それが足を引っ張ってくるのね。

「社畜なんてみじめ!自由になって好きなことで大儲け」的な論調には合わない分からない。そう感じながらその手の記事を読んでしまいます。年寄のせいもあるのかな。

商慣習とは?

商慣習っていったってそんな専門的なもんじゃなくて

●時間を守る
●期日を守る
●簡潔で礼儀正しいメールを書く
●メールをはじめ連絡を早くする
●計算を間違えない
●文字を間違えない
●支払い期日を忘れない
●支払い金額を間違えない
●服装がマトモ
●敬語が使える
●電話の受け答えができる
●請求書を出す
●税金を払う
●契約書を書く
●見積り書を書く
●領収書を書く
●労働基準法や下請法をおおまかに知っている
●他人にタダで物や労力時間、情報や人脈をねだらない
●上記を自分がされたら断ることができる
●個人情報、秘密を保持する
●著作権と肖像権を知っている
●セクハラパワハラの境界線を知っている

程度のことですが…。(加えて、借りたものは返す、パクリをしない、同業他社の妨害行為をしない、メンタルヘルスに問題がない、アルコール等の依存症ではない、誇示するような入れ墨をしてない、スピや宗教、政治、マルチの勧誘をしない、などもありますが…もう商慣習ではなく人間として、という領域ですね。昨今はSNSで情報を漏洩しない、もあるでしょう)私生活のことではありません(プライベートではいくらダラしなくても良いんです)あくまで、公的な活動上のことです。

こんな当たり前こと、ビジネス書もバカバカしくていちいちコンテンツにしません。でもこれらで1回でもはずすと、信用を失墜する、もう取引してもらえない、報酬が得られない、などのリスクが確実に生じます。あくまで個人の話です。

どんなに崇高な目的や理想、ありあまる才能があっても、個人事業である限りそれらで足を取られたら終わりです。

え?個人事業主やフリーランスは嫌な上司がいないから良いって?いやいや、叱られてもパワハラにあってもお金を貰えるんだよ!事業主は叱られない代わりに一番大切な「信用」を一気に失うんだよ。顧客は叱ってくれたらいい方で、たいていはサッサと見切りを付けて笑顔で去ります(お金のある客ほど礼儀正しく一瞬に去ります)。気が付かない本人を放置して。何年たっても誰も何も教えてくれません。

私のほどが知れたもののせいか、いままでお会いした個人のクリエイター関係でこれらを全部できる人はあまりいませんでした。30とか40、50歳以上のいい年になっても。。。私も出来てるかっていうと大きな声では言えませんが汗…。

才能があるからそういうのなくていい、というのは、代わりにしてくれるフォローしてくれる教えてくれる人が会社にいるか、周りにいるか、にかかってきます。

会社経験のある人は上記をそこそこできるので、会社勤めって本当にオトクなシステムなわけです。会社なら失敗を上司や会社が謝ったり、尻ぬぐいしてもらえる。(ひどいと解雇になるかもしれませんが、日本はその程度で辞めさせたら会社がお縄になるのでできない)金もらって自然に身に付けられるし、失敗も怖くないし、安定した給与もあるし、勤め人のがぜったいにオトクです。だから、私はいまだにアーティストは特別!フリーランスかっこいい!起業!脱社畜!とか喧伝する人は警戒してしまいます。

新しい働き方、変わるもの変わらないもの

毎日、お客様の意向を聞きながら、ああでもないこうでもないと四苦八苦しながら描いて、喜んでもらえたら飛び上がって喜ぶ!という繰り返しの至極シンプルな業務が似顔絵です。

泥臭く、地道な毎日。華々しい世界とは対極にある、根源的で昔からある仕事の一つではないか。ネットを使うなど新しい部分はあるけど、注文を受ける→納品する、の繰り返しである昔ながらの業務形態です。

私は長い間、和菓子関係の販促業務に関わっていて、和菓子屋さんには人生のすべてのノウハウが詰まっている!と確信してます。

和菓子屋さんって店によっては芸術だアートだって言われることが多い業界です。でも実際にお付き合いしてきた現場の印象は、泥臭い努力と営業の連続で。餡子と砂糖を真夏に一日中混ぜているエゲつない連続なわけです。利益もそうないです。ちょっと休んだりサボると倒産しそうになるし、ろくろく旅行にも行けません。彼等自身は自分のことをアーティストとか思ってない。明日おさめる寺の茶会に100個、なんとか間に合わせて満足させなければ!と必死なわけです。

似顔絵はこういった製菓業、製造業とか飲食業に近いよなあ、というのが実感です。だから私は、自分をフリーランスとかクリエイターやアーティストとかいう横文字じゃなく「個人事業主」だなあ、と思うわけです。(人によって自覚するスタンスが違うだけで、私にとっては、という意味です。)

タコヤキ説からホットケーキ説へ

で、なんでこうもツラツラ、似顔絵=絵画界のタコヤキ屋説の持論を述べているかというと、

ステキなビジネス書を読んだんです。

「ホットケーキの神さまたち」に学ぶビジネスで成功する10のヒント

めっちゃ面白い。「異色のビジネス書」とありますが、まさに。

内容は、ホットケーキの名店と言われる店を取材して書かれたビジネス考察。半分、お店の紹介、半分、ビジネス論。あまりにホットケーキの描写に熱が入りすぎていて、グルメ本のようになっているのが楽しい。

ホットケーキの名店といってもほとんどが家族経営、個人商店。我々のような個人事業主たちです。違うのは売っているのは絵じゃなくて、ホットケーキだってこと。

個人事業主で現状に悩んでいる人はぜひ一読をおすすめします。何か響くものがあるのではないか。

たかがホットケーキ、されどホットケーキ

ちまたで流行っていたパンケーキではなく、ホットケーキ。

パンケーキは薄く、クリームなどのトッピングが多いが、ホットケーキは分厚く、バターとメープルシロップがかかっている。パンケーキとホットケーキは似ているようで違う。

それが大事なんです。読み進めていくと、あ、似顔絵はホットケーキにも近い。ホットケーキと似顔絵の仕事すごく共通点があるよね。と。

むしろタコヤキよりホットケーキに近い仕事じゃないか、と。

食い物とアートを一緒にするなんて失礼な!と思う人はもうブラウザを閉じてください。

しかし、この本を読むと、たかがホットケーキ、されどホットケーキ。小麦粉と卵と砂糖、ミルクだけのシンプルな食べ物。こんだけ手間をかけて、心を込めて作る人がいることに感動します。そして、私の日々の仕事がこのくらいやっているかな?と。全然やってないな、と。とても恥ずかしかった。でも勇気が出て方向性が見つかった。

そのくらい、ホットケーキの仕事ってすごいな、と。

ホットケーキと似顔絵の共通点

●シンプル(基本は小麦粉と卵と砂糖のみ。似顔絵イラストも紙に目の前の人を描くだけのこと。でもそのシンプルさがとても難しい。やれば分かるけどホットケーキも焦がさず黄金色に毎回焼き上げることはすごく難しいし、似顔絵も「似せる」ことがいかに困難か!)※ホットケーキはパンケーキほどデコレーションできないが状況によっては私の絵はデコるパンケーキ!という割り切りも必要な場合もある。
●安い(原価も安いが売値も安い。売るときもあまり高くできない。似顔絵も庶民向けだから法外な価格だと売れない。高額な価格でギャラリーで売る人がいますが、ほんの僅か。ほとんどの販売者は安価です。)
●手間がかかる(作るのに見えない手間が多い。絵も同じです、そこそこ時間もかかるし技術の蓄積もそこそこの道具も要ります)
●家庭でも作れる(なので容易く見られるホットケーキ。絵も同じ。最近の人は家でサラサラ絵を描きます。家族でも描けるのに、なんでわざわざお金を出して買うの?と。)

まだまだこの本について言いたいことはあるけど、このくらいにして…。お腹減ってしまいました。

読んでいたら、猛烈にホットケーキが食べたくなってきました。

本に出ていた店に行きたい

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京都タワーの近くにある喫茶 珈琲館 全国チェーンだが、多くの名店の店長が珈琲館出身

お腹が減って(*´Д`)はあはあ言いながら、東本願寺前の「珈琲館」へ。チェーン店ですが、素晴らしいんです。私が生まれてはじめて1人で入った喫茶店が珈琲館で、そこのパフェが絶品だった。

ホットケーキの名店の店主たちの多くが、この珈琲館で修行されたとか。

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サイフォンで丁寧に一杯一杯入れているコーヒー。真摯で地道な感じ

日本の喫茶店のホットケーキの源泉のひとつが珈琲館にある。

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2枚で380円だった。安すぎる。一枚でも頼める。シンプルにバターとメープルシロップが付く。

ホットケーキはたまに食べるんですが、この本を読んで改めて食してみたくなりました。

一枚一枚手焼きなので、時間がかかるんです。昔、はじめて食べたとき、遅くてジリジリしました。(もちろん、最初から時間がかかります、と言われてます。)しかし、その遅さも「こだわり」のひとつであること、価値の一つであることを知りました。

待つ時間を愉しむことにしました。

座り心地のいい店内は静かな時間が流れます。焦って入ったり、並んで入るとこうはいかないですね。

件のホットケーキビジネス書には寺町のsmart珈琲についても出てました。行きたいですね。絶品です。あそこのホットケーキも素晴らしいんです。ただ人気が出過ぎて並ぶのに一苦労です。今はインバウンドで人が多すぎるので(ほんとに異常に多い)行くのは無理ですねえ。

珈琲館でホットケーキを食す

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ボリュームがあり程よい厚さ。スタンダードな四角いバターとメープルシロップ。

この黄金色。2枚は多すぎるかと思いましたが、一枚だと寂しいですね。二枚乗っているから喫茶店でたべる価値があります。

豪華に段があるとシロップをかけると、タラーリと上から下に流れて浸みこみます。

それがいいですよね。

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厚さがほどよい。均等。銅板でよくこんなに同じ大きさで同じ厚さに焼けるものなのか。

はああ。嬉しくてため息がでますね。

更年期世代は太りやすいから糖質は制限しないといかんのですが、この黄金の円盤に逆らえる女子がいたらお目にかかりたい。(と思ってたら斜め前でおっちゃんがホットケーキを至福の表情で食べていた。男子もですね)

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ホットケーキにバターとメープルシロップ

 

二枚いっぺんにフォークを入れて、バターとシロップがほどよくシミシミしたところをパクリ。

たまらない!

二枚夢中で食べてしまい、もう一枚頼みたいくらいな感じになりました。(恥ずかしいのでさすがにしなかった)アイスコーヒーの味も濃くて風味が良くて。珈琲とホットケーキの組み合わせでこんなにジーンとするとは…!おそるべし!

昔よりもおいしく感じる!

それはホットケーキ本を読んだせいか?と思いきや、

メニュー本を見たら、甘さの調節をするなど、バージョンアップを行ってるらしいです。昔の味にこだわりすぎず、時代に合わせて変化させている。

昔ながらのものを変わらず出し続ける、作り続けるっていうのが正しいわけじゃない。むしろ違う。ちょっとずつ変わるのが商売ですよね。

シンプルだからこそ0か100の結果に

絵と同じだよね~。食べながら本を読み返し実感。

これが美味しくなかったら「わざわざ来るんじゃなかった。もったいない。家でも焼けるのに」と思う。

でも

美味しすぎてヤバい!こうまで感動させられたら「こんなスゴイものが、なんて安いの!」と。

厳しいですが、ホットケーキというシンプルで誰もが知ってるカンタンそうな菓子。だからこそ、評価が0か100になりやすいんです。

似顔絵もお客様の感想が0か100になりやすい。顔という人にとってひどく個人的なもの、デリケートなものを描くから。でも似顔絵”程度”ならその辺の人でも描けるでしょ?という通念もある。実際絵の上手い人は親戚や友達に1人くらいいて、お金出してまで書いてもらうものじゃないよね、とも。

だからこそ、上手くいかないとすごくガッカリ。お客様も辛いし私も泣く。でも、喜んでもらえたら、ひゃっほーい!!ってくらい大喜びで、生きててよかったあ!と踊り狂うくらい。両極端ですが、そういう分野だからこそ面白いんじゃないかな。

クリームとフルーツがてんこ盛りでケーキの味が不明なくらいデコレーションしているパンケーキもある。それなら「まあまあだよね、ケーキはイマイチだけど、豪華だったし。こんなもんか」で済む場合もあるんですが…デコレーションも難しいですよね。センスもいるし。

個人事業主向けのオススメビジネス書三冊

何がいいたいか分からなくなった。ともかく、ホットケーキは美味い!

このビジネス本は久々のヒットだった。読んで食べて二度おいしい、ということ。

この本の他にも、新しい時代の個人事業主のための、画期的で、役にたつであろうビジネス書を二冊紹介します。

▼Twitterで人気の”えらい店長さん”の本。意識の高い「独立だ起業だ!」って風潮についていけない方に。地道にかつ自由にどうやって仕事をしていくか。生きづらい人にも。
しょぼい起業で生きていく

▼はてなブロガーのちきりんさんの本。シンプルな考え方に目が覚める。因習の圧力に屈したりや固い考え方に陥りそうな時に読むと元気でます。
マーケット感覚を身につけよう—「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法

タダでと言われたら

絵描き関係者でバズることに「タダで描いてと言われた!許せない!」というのがあります。(私はヒドいとタダでもいらないと断るタチ)私なら少しは認められたのかと喜ぶかな。上手くないの分かってるんで(笑)(実際は絶対にタダでは描きませんが)

よく下記のピカソの逸話を出して「だから絵をタダで描くなんて言うやつはクソ!」という意見も散見されます。

気持ちは分かります。。。私も何度もエゲつない扱いを受けるたびに泣きそうになったので。

しかしなあ、ピカソと自分を一緒にするなんて怖いもんしらずやなあ。と。

シビアなことですが絵の価値や労苦を知っている人、ピカソの価値が分かるような人は自分に注文なんてしてくるわけないやろ、と確信してますwそこはがあくまでタコヤキ市場なんですよ。

で、この逸話で大事なことを忘れちゃいけない。

あのピカソですら、タダ同然で描いてって言われるもんなんだって。

だったらピカソの画力に及びのつかない自分としては、いちいち怒らず、丁寧に対処するのが「仕事」のひとつではないかと。

京都人らしくやんわり断り、交渉線引き、値付していくのが「営業」であり「商売」です。明文化システム化ルーティングが「事務」です。そこが前述の7割の仕事だから皆大変なんですよね。プライドにも関わるし。どこかに所属していたら、そーいうの誰かが全部やってくれる訳です。

自分で線引きルール化すんのも個人事業主ならではの醍醐味。状況次第では無料で描くことだってある。

例えば私は一度でも一緒に飲み会や食事をした人にはタダで描くと決めてます。(ハガキサイズまでですが)もちろん、経由で大きな注文が入ることもあります。が、基本は、友達になってくれてありがとう!私は話題がないから、盛り上げるためなら何でも描くよ!という単なるお祭り気分です。

もちろん、エゲつないクレクレの人だってたまにはいます。昔はそのバズりtweetのごとく怒ってましたが、次第に慣れます。

日常茶飯事やし、慣れるわね。タダで描けはともかく、似顔絵にしろWEB制作にしろ、こっちの労苦を平気でひっくり返してくるような事例は茶飯事です。たいていの人はひっくり返してくる、と最初から考えている方がダメージが少ないです。7割はそんなことばかりだからなあ。でも、その業務こそが、仕事そのものです。

テンプレを準備しておくとラクです。このラインを超えたらこう返答する、受け入れる、断る、とか。たいがいのチェーン店は、そうしたスタンスがマニュアル化されてます。個人事業主だとそこんとこ後手後手になりやすいんです。事務ができてないから振り回し振り回されるのです。そういう線引きルール設定はめんどうですが、それが「仕事」です。「好き」じゃなくても仕事です。

タコヤキ屋がいかに見下げられても料理上手の素人とは立場が違う、下手だろうが個人事業主ならプロなんです。お金ちょうだいするならプロなんです。やっていかなくてはいけません。テキトーに。でも真摯に。

そういう7割のことのエッセンスも本にありお勧めです。