今週はフランス革命の世界にどっぷり漬かった

小学生の頃「ああ無情」という児童文学を読んだ。

大長編のフランス小説を子供向けに分かりやすく書いたものだった。今の子も読んだりするのかな?

ヴィクトル・ユーゴー『レ・ミゼラブル』(Les Misérables)

Lesは複数形の定冠詞 Misérablesはmisérable「情ない・惨め」の複数形。なので「惨めったらしい人たち」という訳が正しい。

今風に言うと「ダッセー奴ら」という言い方になるかもしれない。

その題名のとおり、この小説の主人公ジャンバルジャンや登場人物たちは、ものすごく可哀そうな人々。人生ってこんなに苦悩の連続なんだろうか?と子供心に思った。大人になってから、原作を読んでみたくなりチャレンジしてみた。

しかし…これがまた無情の一言で。

内容がじゃない。長さがです。途中で、作者のユーゴーさんがナポレオンにトチ狂った?ワーテルローに関する記述がこれでもか、と続き、頭がぐるぐるになった。私は挫折した。飛ばし読みしまくり、最後の締めだけなんとか読んだ。自身の理解力や根気が乏しいことを思い知らされた、実に、ああ無情な小説だった。

昨日観た「マリーアントワネットに別れを告げて」から26年後のフランスが舞台。

なんで皆歌ってるのだ

レ・ミゼラブル

映画を観ていると、不思議なことに気がついた。

あれ?セリフが変だよ なんで普通にしゃべらないのよ

歌ってるのよ~いちいち。あ、ミュージカルなのね!そうか、これは、小説の映画化ではなく、ミュージカルの映画化なのだ!

似顔絵:女の叫びの歌が映画館に響き渡る

映画「レ・ミゼラブル」アンハサウェイ似顔絵
慟哭するアンハサウェイのイラスト

周りの観客は、うんうん頷く感じで違和感はなさそうだ。

どうやらレ・ミゼラブルというのは非常に有名なミュージカルらしい。

知らなかったのは私だけのようでした。おほほほ。まあ、恥ずかしい。

そうこうしているうちに知っているメロディーが流れてきた。アン・ハサウェイがものすごい形相で歌い始める。これは、あのスーザンボイルさんの歌った「I Dreamed a Dream」!や~知らなかった。レ・ミゼラブルの歌だったのね。

胸に刺さる、その悲痛な歌声。よくわからないが泣けてきた。

アンハサウェイの美人だかなんだか?宇宙人みたいな目。泣きながらこの歌をうたわれると、不思議と気持ちがかきたてられる。この感覚は、中島みゆき様を聞いたときと似ている。

本気すぎる不器用な人々

人生ってこんなに苦悩の連続なんだろうか、という子供の頃の問いは解決されました。「その苦悩はアンタらの思い込みが激しすぎるからやろ?」と改めて思ってしまった。純粋さを一切失ってしまった私です。
パン一個盗んだ男を追いかけまわす警部は暇なんだな、

で、それが挫折したからってその行動は…。

子供を悪い夫婦に預けたアンタが悪いフォンティーヌ

コゼット浮世離れしすぎ、マリウスそのタイミングで恋愛しちゃあアカン

ジャンバルジャンそれは逃避というものジャン

キリスト教は狭量なんだな、罪や罰や、神が許すかどうかばかり全員気にし過ぎ

神父が銀の食器なんざあ持たなくてええやろ、みんなもっと気楽に考えなよ

など

なんで、こんな長くて突っ込みどころ満載の物語が世界中で愛されてるのだろう?

それは、キャラがとびきり魅力的なのだった。

登場人物一人一人が不器用。やることなすこと裏目に出て、カッコ悪い。第三者として「あんたらアホやろ」と冷ややかに見つめる一方で、叫びに共感せずにはいられない。現在も生きる名前もない失敗しまくる私達アホな人間達とかぶる。

私は一番アホな悪役キャラ、ラッセル・クロウ演じる警部ジャベールが一番好きです。

レ・ミゼラブル